はじめに:手作業を終わらせる「集計の自動化」
毎日の業務で行う「合計」「平均」「個数」の計算。これを手作業でやっていると、時間がかかる上にミスも発生します。
データ分析の基本であり、自動化への第一歩は、この集計作業を関数で完全に自動化することです。関数とは、Excelにあらかじめ用意された「計算のレシピ」であり、一度設定すればデータが変わっても結果が自動で更新されます。
この記事では、事務作業で特に利用頻度の高い2つの基本系と2つの応用系の集計関数をマスターし、集計作業時間を劇的に短縮します。
今回のクエストはこちら。

1. 【基本系】単純な計算を瞬時に行う2つの関数
まずは、条件なしで、指定した範囲のデータをそのまま集計する基本中の基本となる3つの関数です。
| 関数名 | 目的 | 実務での使いどころ |
| SUM | 数値の合計を求める。 | 今月の全支店の売上総額、プロジェクト全体の経費合計。 |
| COUNT | 数値が入っているセルの個数を数える。 | 納品が完了したアイテムの件数、回答があったアンケートの件数。 |
💡 COUNTとCOUNTAの違い COUNTは数値のみを数えますが、COUNTAは空白以外のすべてのデータ(文字、数値、日付など)を数えます。例えば、社員名簿の人数を数える場合は、文字も数えられる COUNTA を使うと便利です。
それぞれの関数はこちらの記事をご覧ください。
なお、エクセルクエストでは平均の算出にAVERAGE関数を利用しません。
覚えるものを最小限にしたいので、SUM関数とCOUNT関数を組み合わせましょう。
2. 【応用系】特定の条件を絞り込む関数
実務での集計のほとんどは、「特定の条件に合致したものだけ」を計算する応用系関数を利用します。これが使えるようになると、集計の質が飛躍的に向上します。
COUNTIFS / SUMIFS :単体・複数の条件で集計する
条件が1つでも複数でも利用できる関数です。
- 構文のイメージ:
SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 検索条件1, 条件範囲2, 検索条件2, ...) - 実務事例: 「関東地方」かつ「家電カテゴリ」の売上合計、「2024年」かつ「Bランク」の顧客の件数。
📌 COUNTIFS / SUMIFS のコツ 複数の条件を指定できるため、まず最初に**「合計したい範囲」**(SUMIFSの場合)を指定し、その後に「条件のセット」をいくつでも追加していく、と覚えると分かりやすいです。
基本形と同様に、暗記を最小限にするためAVERAGEIFS関数は利用しません。
3. 【応用テクニック】エラーを回避し、集計を確実にする
集計関数を使う上で、初心者が必ずぶつかる壁が「エラー表示」です。これらのエラーを回避する関数をあらかじめ組み込むことで、集計表の信頼性が向上します。
IFERROR:エラー発生時でも集計表を崩さない
- 目的: 割り算などでエラー(
#DIV/0!など)が出た場合に、代わりに指定した文字を表示させる。 - 構文のイメージ:
IFERROR(関数の式, エラー時に表示したい値) - 実務事例: 平均値を計算する際、データが1つもない(分母が0になる)場合に、エラーを隠して**「-」や「0」**を表示させ、見やすい集計表にする。
IFERROR関数についての記事はこちらをご覧ください。
絶対参照($):関数をコピーしても参照先を固定する
- 目的: 関数を他のセルにコピー&ペーストしても、参照先のセルを固定したいとき。
- 方法: 固定したい列や行のアルファベット・数字の前に
$(ドルマーク)をつけます。 - 実務事例: 基準となる「消費税率」や「予算額」が入力された単一のセルを、集計表全体にわたって参照したい場合。
「$」の利用方法についてはこちらをご確認ください。
今回のクエストを終えて
関数による集計を習得!
集計に必須のこれらの関数を使いこなせば、データ分析の基礎を固め、日々の集計作業を完全に自動化できます。
- 基本関数で全体のボリュームを把握し、
- 条件付き関数で必要なデータだけを抽出する。







コメント